ライトあんよ奏法

 前回、「ぱふぱふ奏法」などと思いつきを書いてしまったが、よく考えたらミュートしちゃってどうにもならないじゃないか! あっでも、金属製の何かを装着すれば、演奏者本人にとっても意外性のあるボトルネック奏法になりうるかも。

 しかし「ライトあんよ奏法」にはかなわないな。まず、ライトハンド奏法というのは、ギターの指板上に右手を持っていって、指先で弦をハンマリングオン、プリングオフするものだ。エディ・ヴァン・ヘイレンの影響で広まり、80年代初めにはみんなやってた(ステージ上でやるかどうかはともかく)。「ライトあんよ奏法」は右手の代わりに右足を使うというもので、T.Vの葛城哲哉氏によって開発された。


 こちらは足が器用でないと無理だし、一本足で立って弾くので運動神経も必要だ。誰にでもできるものではない。葛城氏は、サッカーをやっていたので足の器用さは申し分なく、このどう考えてもお笑い奏法に転んでしまうはずのものを、ステージ上でカッコよく決めることができた。

 T.Vのメンバーは、1986年のデビュー時には葛城哲哉(G、Vo)、烏丸哲也(G)、近沢克也(B)、土屋薫(Ds)。筑波大学出身の4人バンドであった。しばらくして、土屋氏が「研究に戻る」といって筑波に帰ってしまったので五十嵐公太(のちJudy and Mary)が入った。またしばらくしてTV-Wildings(ティー・ヴィー・ウィリングス)に改名したが1989年に解散。

 その後、葛城氏はソロで活動を始め、TMNのツアーに参加したことで、T.Vを知らなかった人にも一気に有名に。今でも多数のミュージシャンのアルバムやライヴで演奏してお元気そうである。サッカーの方では、コメンテーターとしてラジオに出演したり、浦和レッズの山田暢久選手のサイトでコラムを執筆なさっているようだ。

 烏丸氏はGiGSの編集部に迎えられて、順調(たぶん)に出世し、Young Guitarの編集長を経て現在はBARKS編集長になられてるとのこと。昔、私がいた音楽雑誌で「ミュージシャンの短歌」という特集をやったことがあり、そこに複数書いて下さったうちの一つは「たらちねの母の脳髄~」というスプラッタかつぶっとんだ短歌だった。

 近沢氏はヤマハでディレクターをされてるらしい。赤羽楽団のリストに近沢氏、葛城氏、五十嵐氏の名前があった。五十嵐氏はご存知のようにJudy and Maryで大ブレイク。土屋氏はどうしてるかなと検索してみたら、duB-ROckというバンドでドラムも叩いておられるようだが、なんと青森大学社会学部の助教授にもなられてたとは! 写真も発見。

 T.Vのことを思い出していると音が聴きたくなったが、手元にないし、当時のアルバムはものすごく入手しにくいはず。と思ったら2001年に2枚組ベストアルバム「ARCHIVES~ベスト・オブ・ティー・ヴィー」が出ていた。

 ポイントが貯まってるのでまずJBOOKに行くと、試聴できるようになっていた(ちなみにショッピングサイトでは「PSCR-6010」で探すのがお勧め)。しかし、肝心のところでフェードアウトしてしまうのでますます気になり、さらに探すとBARKS(当然といえば当然か)でもっとちゃんと聴けた(試聴曲リスト)。いや~、いいなぁ! 一番印象に残っているのは「ザーマスおばさん」だったが、「村のかじや」とか、たぶん代表曲の「Born To Be Wi-dol」「Sweet Lady」「Student Apathy」とか、今聴いてもハッピーっす。ということでJBOOKに戻り、注文を確定。

 音的には正統派アメリカンハードロックで、初期の歌詞はコミカルだった。そこそこしか売れなかった理由はわからない。でも、その後それぞれに充実して、音楽に関わる生活を楽しんでいるようだし、いまだに「ライトあんよ(アンヨ)奏法」で検索すると山ほど出てくる。

 さて、明後日あたり「ARCHIVES」が届くかな?

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